当院の治術は全て「脈診」から始まり、「脈診」で終わります。
つまり、脈を診て治術の内容を決定していきます。
① 鍼 ② 灸 ③ マッサージ(あん摩・指圧) の中からその方に最も合ったもので治術します。

鍼治療

針治療とは、特殊は鍼を使ってツボや患部に刺激を与える治療法です。髪の毛ほどの極細の鍼(直径0.12㎜~0.44㎜、長さ30㎜~80㎜程度)を使用します。
日本では管鍼法といって、金属や合成樹脂製の鍼管という筒状の管を用いて鍼を刺入する方法が主流です。また、中国式で、筒を使用せずダイレクトに刺入するテクニックも行っています。
刺し方のテクニックとしては、目的の深さまで刺入し、刺した鍼を回旋させたり、上下に動かしたり、振動など一定の刺激を与えてすぐに抜く「単刺法」、また刺した鍼をしばらくそのままにしておく「置鍼法」、刺入した鍼に微弱な低周波電流を通電させて、筋肉の血行促進を図る「パルス鍼療法」などがあります。これらのテクニックは各症状などにより選択します。その他、刺入せずに皮膚に接触させたり、押圧させたりする方法もあり、小児鍼
(しょうに鍼)として乳幼児の夜尿症、夜泣きなどに効果があるとされています。

なぜ鍼治療は効くのか?

なぜ鍼治療は効果があるのでしょう。理論的には経穴(ツボ)に刺鍼することにより刺激が自律神経系、免疫系などに作用して、筋緊張を緩和し血液やリンパ液の代謝を向上させることにより、本来持っている自然治癒力を向上させる働きがあると考えられています。
また、鍼治療の効果で一番なのが鎮痛効果です。その理由として

1. 鍼刺激により脳内に痛みを抑制するエンドルフィンが分泌されるため。
2. 鍼刺激が脊椎で痛みを抑制するゲートコントロール作用が起こる
 (ゲートコントロール説)
3. 鍼刺激が末梢神経の痛みの信号を遮断する。
4. 経穴(ツボ)刺激により痛覚閾値が上がるため、痛みを感じにくくなる。
5. 鍼刺激により筋肉の緊張が緩むため血液の循環が改善される。

灸治療

灸は「おきゅう」「やいと」などと呼ばれ、古くから日本でも広く行われて来ました。 お灸は「モグサ(艾)」を使って経穴(ツボ)などに熱刺激を加える方法で、直接皮膚にモグサを乗せて着火させる直接灸と、皮膚に直接乗せない間接灸という手法があります。
直接灸では、モグサの大きさは米粒や半米粒大、また糸状のものから親指大くらいのものまであります。これらのお灸は熱の刺激が強く感じられます。
また、間接灸には、モグサと皮膚の間に紙など挟んで、モグサが直接皮膚に触れないようにするものや、スライスした生姜や塩、味噌などを挟む隔物灸というものがあります。この場合は温和な熱量で気持ちが良い感じでしょう。

灸治療はなぜ効くのか

灸治療は、経穴(ツボ)や患部に熱刺激を与えることにより、血行が良くなります。そのため、血液内の免疫物質を分泌させたり、造血作用が促進され、カラダの機能改善や抵抗力の向上などに効果があります。
その他に、刺入した鍼の頭(先端)にそら豆大のモグサを取り付けて点火する灸頭鍼と云う方法や、熱の刺激源を遠赤外線やレーザーとする科学的な試みも実用化されています。

「鍼:はり」と「灸:きゅう」の治療効果の違い

鍼治療と灸治療、その治療効果に違いはあるのでしょうか。鍼治療はすぐに効果が現れる傾向にあり、灸治療は慢性的な症状に対して、比較的ゆっくりと継続的に改善させる傾向があります。しかし鍼治療も慢性的な症状に効果があることも多く、また灸でもすぐに効き目が現れることもあります。
なので、この症状には鍼治療、違う症状には灸治療と一概に決めつけることは難しいのです。鍼治療と灸治療は、治療を受ける人の疾患や症状、体質などを考慮して、有効なポイント(ツボ)を選び、その人に合った治療法を行なうことが重要となるのです。

「マッサージ・あん摩・指圧」の基本理論

マッサージ・あん摩・指圧は、術者の手指で被術者の皮膚や筋膜、筋肉・腱・関節などに機械的刺激(なでる、もむ、おす、ふるわせる、こする、たたく、ひっぱるなど)を適切に与えることにより、有効な生体反応を起こし、身体の変調を整え、疾病を予防・治療し、健康の保持増進に役立つ施術(テクニック)です。

○ マッサージの基本理論

マッサージは、疾病の予防および治療、あるいは健康の保持増進の目的で、徒手で一定の手技・方式により、皮膚に直接触れ、求心性に施術するテクニックです。応用する分野により医療マッサージ、保健マッサージ、スポーツマッサージ、産業マッサージ、美顔・美容マッサージなどに分類されています。また、ヘッドマッサージ、リンパマッサージのように対象とする部位や組織により特化したマッサージも存在し、目的や方法・理論はそれぞれに細分化しているのが現状です。

○ あん摩の基本理論

あん摩は、疾病の予防および治療、あるいは健康の保持増進の目的で、徒手により一定の方式に従って、衣服の上から遠心性に施術する技術です。元来、あん摩は、はり、きゅうとともに東洋医術(漢方医術)の一科として経絡・経穴理論をもとに体系化され、発達してきた施術です。按摩の「按」は押さえることすなわち瀉術のことであり、「摩」は撫でることすなわち補術を意味します。従って、あん摩は東洋医術の刺激の与え方の二大原則を基礎とする補瀉の療法です。

○ 指圧の基本理論

指圧は、徒手で体表の一定部位を押圧し、その圧刺激により生体の変調を矯正し、疾病の予防および治療、あるいは健康の保持増進に寄与するテクニックです。この押圧は、矯正と反射の二つの目的を持って行われるものです。「矯正」とは、身体の形態を正常にすることを目的とする技術であり、「反射」とは、身体の機能を調整することを目的とするテクニックです。この矯正と反射の機転を応用して、全身機能を調整します。

マッサージ・あん摩・指圧の治療的作用

○ 鎮静作用

  1. 神経痛やケイレンのように異常に機能が亢進している際、その興奮を抑制する作用です。
  2. 鎮静作用を目的とするときは強刺激を与えます。しかし異常興奮を示している神経や筋は感受性が高まっているので、それを考慮して行なう必要があります。
  3. 鎮静作用は、テクニックとして圧迫法、強めの叩打法や振戦法、揉捏法などを持続的に圧痛点や電気運動点などに加えると良い効果が得られます。

○ 興奮作用

  1. 知覚鈍麻や神経・筋の麻痺、弛緩性便秘のように異常に機能が低下している際、その興奮性を高める作用があります。
  2. この興奮作用には比較的弱い刺激が適しています。
  3. テクニックとして軽擦法(擦る)や揉捏法(揉む)などを圧痛点や電気運動点に短時間行なうと良い効果を得られます。

○ 誘導作用

  1. 誘導作用:患部または遠隔部に施術を施し、患部の循環に影響し、血液・リンパ液・病的滲出物を誘導、調整することです。
  2. 患部誘導作用:筋萎縮、麻痺、局所貧血、冷えなどの患部の循環が低下している際、直接施術を施し、血液・リンパ液などの循環を促進する作用です。
  3. 健部誘導作用:患部に発赤、腫脹、疼痛、充血、出血、炎症などがあり、直接の施術が困難な場合、健部(身体の中心部など)に施術し、患部より血液・リンパ液を誘導し患部の状態を改善する作用です。

○ 反射作用

反射作用とは患部から離れたところに施術し、反射機転を介して機能を改善することを言います。たとえば、尿管結石疝痛発作に対する腰部、神経性胃痛に対する背部などへの持続圧迫などがこれです。

○ 防御作用

防御作用とは、マッサージ・あん摩・指圧を施すことにより、ストレスを解消し免疫機能を高めることです。

○ 調整作用

マッサージ・あん摩・指圧により、生体全体としての協調性や統合性を高めることを言います。

○ 転調作用

自律神経失調症やアレルギー症などの、体質を改善したり、免疫力を強壮する作用です。